降霊術・危険な遊び

百物語の正しいやり方

百物語という遊戯は、皆さんも聞いたことがあると思います。一般的に伝わっているのは、暗い部屋の中で百の蝋燭に火を灯し、参加者が怪談を一つ話すたびに蝋燭の火を一つずつ消していき、最後の蝋燭を消したときに本物の怪異が現れる、といった話です。
この話に間違いがあるわけではないのですが、正式な方法は上記より複雑なため、今回は百物語の正式な方法と、より簡易化するための方法について解説したいと思います。

百物語の方法


百物語の正式な方法については、以下の通りとなっています。

用意する物:青い紙を貼った行灯(100個)、文机、鏡、3部屋以上ある家、青い着物

1:新月の夜に参加者の誰かの家に集まります。この際、参加者は少なくとも3人以上必要です。部屋に入り切る人数であれば、99人まで参加しても構いません(これには、百の物語を語るのに人数は多い方が楽である、という現実的な理由と、あまりに少ない人数では何か現れた際に危険である、という超自然的な理由があります)。全員、青い着物を着ておく必要があります。

2:開催場所の家の3部屋の中でも一番奥まった部屋に、行灯に火を灯し、文机の上に鏡を乗せて置いておきます。またこの際、3つの部屋の明かりは全て消しておきます。

3:準備が整ったら、二つ隣の部屋へ行き、そこで怪談を話し始めます。

4:怪談を話し終えた人は手探りで一番奥の部屋まで行き、行灯の火を消してから鏡で自分の顔を見て、再び元の部屋へ戻ります(この間、他の参加者は次の話を始めていても構いません)。
鏡を見るのは、度胸試し、と言う意味と、魔物が自身に付いていないかを確認する意味があります。万が一何か憑いていた場合は、百物語が終わった後に、然るべき手順で祓う必要があります。

5:99話目まで話し終えたら、100話目は話さずに朝を待ちます(もし100話目を話し終えて全ての火を消すと、本物の怪異が現れるからです)。

6:日が昇った時点で終了です。

ここまでが、一番正式な百物語の方法です。行灯ではなく蝋燭を用いるようになったのは、
江戸時代の末期からです。

現代でもできる、簡易的な百物語の方法


上記で正式な百物語の方法を解説しましたが、現代においてここまで状況を整えて、百物語
を開催することはかなり難しいでしょう。ですから現代でも可能な、より簡易的な百物語の
方法について解説したいと思います。

用意する物:蝋燭(10本)、真っ暗な部屋(一部屋)

1:部屋の中に蝋燭を10本立て、火を灯す

2:参加者が怪談を話す

3:話し終えた人から、蝋燭の火を一つずつ消していく

4:9話目まで話し終えた時点で、朝を待つ

この方法は、正式な百物語を可能な限り簡易的にした、言うなれば「十物語」です。ただし
百物語と同様、話していいのは9話目までで、最後の蝋燭の火は消さないでおきます。これ
は真っ暗になることで怪異が現れることを防ぐためです。
蝋燭を10本としたのは、1~100までの数字の中で、10が一番「100」と感覚的に近いか
らです。数字というものは呪術的な要素を持つものですから、出来るだけ正式なものと近い
形にしておく必要があるのです。
(例えば病院などでは「4」という数字を避ける風潮があります。また、キリスト教圏の建
築物は、13という数字を避ける傾向があります。これらも、数字というものが持つ魔力
に由来するものです)

「百物語」「十物語」を行う際の注意点


百物語や「ひとりかくれんぼ」のような「呪術的な要素を含んだ遊戯」というのは、その性質から本物の怪異を招き寄せてしまう可能性が非常に高いです。また、そういった際に呼び出されるモノは、得てして人間に害を及ぼします。ですから、「百物語」や、簡易化した「十物語」を行う際には、以下の点に気を付けて行ってください。

・最後の蝋燭は決して消さない
最後の蝋燭の火を消してしまうと、本物の怪異が現れます。具体的に何が現れるかは、そ
の時の状況に依るため断言はできませんが、基本的に人に害を成すものです。ですから、最後の蝋燭の火は、決して消さないようにしてください

・必ず最後までやり切る
これは呪術にも言えることですが、百物語の様な呪術的な要素を含んだ遊戯でも、途中で止めてしまった場合、多くは良くないことが起こります。これは中途半端な状態で留められてしまった呪術的な要素が、その場や、その場にいた人間に憑いてしまうからです。ですから、一度始めたら必ず完遂してください。

・無風の場所で行う
これは上記の注意点に付随するものですが、蝋燭の火が事故で消えてしまった場合も、百物語は完遂できなくなります。また、蝋燭の火がすべて消えてしまえば、怪異が姿を現すことにもなります。ですから、誤って火が消えてしまうような事態を避けるため、百物語は必ず無風の場所で行うようにしましょう。
(蝋燭が倒れてしまった場合は、火事などの現実的な危険もありますので、この点は特に注意してください)

・朝までに終える
正式な百物語を行う際は、「新月の夜」の行う、と言うことは序盤の方でも述べましたが、これは月の光を排し、完全な暗闇を作り出す為です。百物語を行う際は、蝋燭の光以外の光は排さなければならないのです。その為、夜が明けて日が昇るまでに百物語を完遂できなければ、百物語は失敗となります。ですから、参加人数に合わせて開始時間を定めておき、朝が来るまでに完遂できるようにしましょう。

以上が百物語と、それを極限まで簡易化させた十物語の方法と注意点です。百物語はただの
遊戯ですから、百物語を行う事によるメリットはとくにありません。あくまで怪談を楽しむ、
というためだけの催しです。
ただし、百物語には呪術的な要素が含まれています。そのため、百物語の開催には細心の注
意を払う必要があります。もし聞きかじった程度の知識で中途半端に百物語を行えば、ただ
でさえ高いリスクが更に跳ね上がります。
ですから、百物語を行う際には必ず正しい方法で、上記の注意点を必ず守り、細心の注意を
払わなければなりません。。

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