悪魔召喚は現代においても多くの人々を魅了する魔法の一つです。
しかし、この魔法にはその危険性がつきまといます。
魔術師たちはその力を駆使するにあたり、慎重かつ細心の注意を払っています。
本記事では、歴史に名を残す魔術師たちであるアレイスター・クロウリーやメイザース、サンジェルマンらが用いた悪魔召喚の方法について解説します。
黄金の夜明け団の重要人物!アレイスター・クロウリー
アレイスター・クロウリーは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したイギリスの魔術師であり、自身を「世界最悪の男」と称したことでも知られています。
彼はオカルト、ヨガ、神秘主義、占星術、タロット、そして悪魔召喚を研究し、数多くの書籍を著しました。
クロウリーは自分自身を魔術師として「悟り」を開き、悪魔召喚を行うための儀式を執り行っていました。
彼は悪魔召喚に必要なものとして、実験室、魔法の杖、黒いマント、そして本格的な宗教的儀式を用いることも推奨しています。
クロウリーの悪魔召喚の方法
クロウリーが行っていた悪魔召喚の中でも有名なのは、大悪魔コロンゾンの召喚です。
この召喚はアルジェリア南部の砂漠で弟子のヴィクター・ニューバークと共に行った魔術実験によって成功しました。
クロウリーは鳩を召喚媒体とした三角陣を作ってその中に入り、弟子もまた身を守る魔法陣を作ってその中で呪文を唱えたとされています。
この魔術実験によって、クロウリーはコロンゾンを自身に憑依させることに見事成功しました。
この召喚により、クロウリーは天使と接触するためのヒントを得ることができたのです。
残念ながら、詳しい召喚呪文は残されていませんが、その時の様子はクロウリーの著書『霊視と幻聴』に残されています。
材料
- 3羽の鳩
- 鳩の血液
儀式
- 三角形の召喚陣を描き、その各頂点鳩の喉を掻き切って殺す
- 鳩の血を召喚陣の中に撒く
- 召喚陣の中にクロウリーが入る
- 結界魔方陣を描き、その中にニューバーグが入る
- クロウリーの肉体を依り代に悪魔コロンゾンを召喚する
この時、召喚に成功はしました。
アレイスターの肉体に顕現した悪魔コロンゾンが「ザザス、ザザス、ナサタナダ、ザザス」と叫びを上げ、脈略を失った意味不明な戯言を喚き散らしました。
そして、巧みにニューバーグを騙そうとそそのかし、魔方陣を壊して召喚陣から抜け出しました。そしてニューバーグを殺そうとしたのです。
しかし、ニューバーグは魔剣とテトラグラマトンで応戦、大立ち回りの後、コロンゾンは召喚陣に戻されました。
そして、召喚触媒である鳩の血が尽きたところでコロンゾンは姿を消したそうです。
この召喚では、クロウリーは終始恍惚とした様子だったそうですが、これはクロウリーが悪魔を制御できなかった結果でもあります。
20世紀最大の魔術師と呼ばれた彼でも、悪魔を完全にコントロールしきることはできなかったのですね。
フリーメイソンのメンバー、黄金の夜明け団創設者マグレガー・メイザース
フランスの魔術師エリファス・レヴィに影響を受けたジェラルド・ガードナーが創始した、現代のウィッカ信仰において、メイザースは重要な人物です。
先に述べたアレイスター・クロウリーも、メイザースがスカウトして弟子にしたとされています。
そのため、メイザースはアレイスター・クロウリーと同じく、オカルト、神秘主義、占星術、タロット、そして悪魔召喚を研究し、自身の魔法体系を確立しました。
メイザースは上級悪魔を召喚できる力を持っていました。
このメイザース、クロウリーがコロンゾンの召喚に成功するよりも前にコロンゾンを召喚、契約を結び、クロウリーを害するように指示をしたという説もあるのです。
メイザースの魔法召喚の方法
彼が用いた悪魔召喚の方法は、クロウリーと似たものがあります。
メイザースは実験室を用い、黒いマントや魔法の杖、そして本格的な宗教的儀式を行いました。
しかし、メイザースがクロウリーと異なる点は、悪魔召喚において紋章学を用いることです。
彼は悪魔を召喚する際に、特定の紋章やシンボルを使用しました。
この紋章学は、後に彼の魔法体系において非常に重要な役割を果たすことになります。
メイザースが召喚した悪魔の中でも有名なのは、バルバトスという存在です。
彼はバルバトスを召喚して、彼から数々の秘密を聞き出したとされています。
実際の召喚方法は、17世紀に書かれた魔術書に記されています。以下がその例です。
材料
- 緑のろうそく
- 香炉と香木
- 銅製の器
- 赤いインク
- 羊皮紙またはパピルス
儀式
- 銅製の器に赤いインクを入れ、羊皮紙またはパピルスにバルバトスのシジル(印章)を描きます。
- 香木を香炉に入れ、火をつけます。
- 緑のろうそくを点灯し、バルバトスを呼び出すための呪文を唱えます。
「バルバトスよ、私を聞け。私はあなたを呼び出す者であり、あなたの力と知識を求めます。私はあなたの下僕であり、あなたに忠誠を誓います。この香木と緑のろうそく、そしてこのシジルを前にして、あなたの力を私に示してください。」
紋章学においてバルバトスの紋章は、黒い山羊と蝙蝠の姿が特徴です。
そのほか、メイザースは悪魔を召喚するだけでなく、天使との交信も行っていました。
サン・ジェルマン伯爵
サンジェルマンは18世紀に活躍したフランスの魔術師であり、錬金術、占星術、そして悪魔召喚を研究し、多くの著作を残しています。
彼は、多言語に堪能でもあったため、様々な国を旅して知識を習得していました。
また、サンジェルマンは自身が「不老不死の秘薬」を手に入れたとも伝えられています。
彼はこの秘薬を使用して、長寿を保ったとされています。
しかし、彼が手に入れた秘薬が本当に存在したのかどうかは、不明な点が多いです。
サンジェルマンの悪魔召喚の方法
サンジェルマンが行っていた悪魔召喚の方法は、クロウリーやメイザースとは異なります。
彼は占星術的な手法を用いて、悪魔を召喚していました。
具体的には、特定の天体の位置を読み取り、それに基づいて悪魔を呼び出していました。
3人の魔術師による悪魔召喚の共通点
以上、アレイスター・クロウリー、メイザース、サンジェルマンの3人の魔術師を紹介しましたが、彼らが用いた悪魔召喚の方法にはいくつか共通点が見られます。
まず、3人とも悪魔召喚において紋章学や占星術という学術を用いていたことが挙げられます。
紋章学は、特定の紋章やシンボルを使用することで悪魔を呼び出すための鍵を手に入れることができます。
一方、占星術は特定の天体の位置を読み取ることで運命や将来を占ったり、今回のように悪魔を召喚することもできます。
悪魔召喚にはリスクが伴い、その結果として悲劇が起こることもあるため、自己責任で行うことが重要です。
フィクションとしてエンタメ化される悪魔召喚
最近では悪魔召喚を題材にした作品が増えており、注目を集めています。
しかし、その中には誤った情報や誇張された描写が含まれることがあるため、正確な知識を持っていることが重要です。
現代においても、魔術やオカルトに興味を持つ人たちは多くいます。
しかし、悪魔召喚というものは、単なるエンターテインメントとして軽視することはできません。
クロウリーをはじめとした魔術師たちは、長い年月と厳しい修行の後に初めて魔術を扱えるようになります。
そんな彼らですら、完全に悪魔をコントロールできなかった過去があります。
悪魔召喚には、そのリスクについても注意するべきです。
悪魔は自在に姿を変え、甘言を囁き、人の心の弱いところに付け入って巧みに誘惑します。
そして、悪魔にとって有利になるように契約内容を歪ませたり、召喚者を殺したり乗っ取ったりするのです。
悪魔召喚や魔術で広がる可能性
また、悪魔召喚に限らず、魔術やオカルトには、人々が持つ様々な欲望や願望を満たすことができる可能性があります。
しかし、その裏には、自己啓発や宗教的な成長など、より高い目的があることを忘れてはなりません。
魔術やオカルトに興味を持つ人たちは、その深い意味を理解し、自己啓発や精神的成長を目的とした取り組みを行うことが望ましいでしょう。
まとめ
以上、アレイスター・クロウリー、メイザース、サンジェルマンの3人の魔術師を紹介し、彼らが用いた悪魔召喚の方法について解説しました。
悪魔召喚には多くのリスクが伴いますが、正確な知識を持ち、慎重に取り組むことで、高い成果を得ることも可能です。
魔術やオカルトに興味を持つ人たちは、その深い意味を理解し、より高い目的を持った取り組みを行うことが望ましいでしょう。