中世では恋愛を成就させるため、意中の相手を虜にさせる手段としては惚れ薬こそがポピュラーなものでした。
しかし近代へと移り変わるなかで当時の世論や呪術師を取り巻く環境の変化によって廃れて行く事となりました。
そこで惚れ薬に代わる新たな代用品が求められたのでした。
今回はこっそりと使うことができ、そして効果が得られるとして人気を誇った愛の呪文についてご紹介していきます。
なぜ惚れ薬が廃れることとなったのか
惚れ薬は中世から信頼され、用いられてきた技術の結晶です。
しかしその存在はキリスト教会たちにとっては悪魔の力の一つ、呪術を扱うものとして蛇蝎のごとく忌み嫌われていたのでした。
そのようなキリスト教会たちにとって、目の上のたんこぶであった邪教徒たち、呪術師を一掃できる機会が生まれたのです。
それこそが魔女狩りでした。
中世末からヨーロッパを中心に始まり、新大陸であったアメリカにまで波及することとなったのはご存じの通りだと思います。
キリスト教会の権威を示すため、見世物の一つとして執り行われたこの私刑劇は永く私たちを苦しめることとなりました。
そして魔女狩りによって恋に悩む者たちにもその牙は向けられました。
安易な惚れ薬を作ることができなくなってしまったのです。
無暗に呪術に関わろうものなら、教会によって処刑台に送られることとなったのですから。
ですから人々は新たな惚れ薬に代わるものを求めました。
こうした経緯より生まれたのが、今回ご紹介する呪文となっております。
どのようにして呪術をかけるのか
恋愛を叶える呪文は非常に簡単なものです。
呪文を唱えるための大前提として、あなた自身と相手がお互いに見つめ合う状態になることが必要です。
そして見つめ合いながら「カフェ、カシタ、ノンカフェラ。そして息子よ、彼自身のためにすべてのもののために語れ」と呪文を唱えるのです。
あとは相手を思うがままに操ることができます。
あなたの理想の姿を演じさせることも、以前と変わることなく、けれどもあなたへ思いを寄せるように変えることもできるでしょう。
また同様に女性の手を触れつつ「ベスタルベルトが女性の内部を誘惑する」という呪文を唱えることで、女性が自分自身に強い関心を向けるようになる呪術も流行しました。
傍からみれば見つめ合い言葉をささやく姿や、相手に対して手を繋ぎ会話をしているだけです。
両者ともに、第三者から見れば男が女性を口説いているようにしか見えません。
そのカモフラージュ性の高さ、そしてなによりもお手軽さから恋愛の呪文は人気を博すようになったのです。
恋愛の呪文を成功させるために
この呪術を成功させるうえで最大の難関となるのは最初に見つめ合う状態に持ち込むことです。
この関門を乗り越えることができればほぼ成功したようなものですよね。
この呪文が流行した時代では「〇〇(意中の相手の名)の運命を星で占おう」というものが女性を誘う定番のセリフでした。
当時はまだまだ占星術が学問としての力を維持していた時代。
星の辿る軌跡から人や国家の運命を占うことが重要視されていました。
そこで男性たちは知性をもつ者として女性に向けたアピールをしていたのです。
古今東西、何も持ちえない無能に対し異性は魅力を感じることはありません。
異性から関心を惹きつけられる何かを示すことで、この呪術は真価を発揮するでしょう。