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密教と呪術の関係性

密教の本尊には呪力がある!?

大乗仏教の秘密教にあたる「密教」

実はこの宗教が呪いに深く関係しているという説がある。
というのも、この密教に伝わる神は、不動明王・毘沙門天・大黒天・金剛夜叉明王などで、いずれも強大な呪力を持つとされるからだ。加持祈祷により、これらの神・仏の呪力を願うのだ。

オカルト世界の中でも、その恐ろしい力については各所で語り継がれている。神の力を使って人間を殺めたり、呪術を悪用して特定の相手を苦しめたり…。今回は、密教と呪いの関係性について掘り下げていく。

密教とは

密教とは、別名で「秘密仏教」ともいわれ、教団に属する者たちの間だけで儀式や儀礼が行われていく宗教である。

一般的な仏教、イスラム教、キリスト教などであれば、公の場で儀式や儀礼が行われることもあるが、密教だけは非公開だ。また、密教は、書物に書き起こされる教えを「真実」だと捉えない宗派でもある。つまり、以心伝心の感覚を持つ者にしか理解出来ないナニカがあり、それこそが物事の真実・真理なのだという考え方なのだ。

密教が伝承され始めたのは7世紀から

密教が伝承され始めたのは7世紀のこと。
インドのベンガル地方を中心に、多くの人々から共感を集めた宗派だ。中国では唐の時代に、日本では平安時代初期頃に伝えられている。密教で大切にされる儀礼は、手に印を結んで行う加持や、天に祈りを捧げる祈祷だ。

呪力を持つ不動明王・毘沙門天・大黒天・金剛夜叉明王の4つの仏への信仰の厚さから、教団に属する者は呪術をも使いこなすと言い伝えられてきた。

呪いと密教の関係性

世にその教えが公表されている宗派は、呪いとは一切の関係を持たない。

反対に、非公開な儀式・儀礼の多い密教は、呪術の心得や方法を伝承している。呪いを教える目的は「悪人裁きのため」と言われてはいるものの、実際には個人的な感情に駆られて人を呪い殺す教団員もいる。

呪殺を駆使したことで有名な人物は、チベットの怪僧ドルジェタクである。彼は、17世紀にチベット政府の長として活躍したダライ・ラマの尊敬する人物だった。口から神仏を心臓へ取り込み、それを放出して曼荼羅を構築し、相手に送り込んで思うような結果を得るという。

ドルジェタクは、自分の敵や悪人を呪い殺すことに長けており、犯罪を働いた人間はことごとく呪殺されている。

現代における犯罪者は極刑でも「死刑」に留まるが、ドルジェタクの考え方は違う。1度でも悪意を持って法を犯した存在は、呪い殺さなければ救われないというのである。正義に背く存在は、死後も成仏することは許されず、その魂までをも呪い殺すことが救済措置。救い難い人間は、煩悩や生死からも度脱させることで浄化される。呪殺、これは仏の大慈悲であると。これが、ドルジェタクのいわんとする正義の呪殺、その価値観なのだ。

ただし、度脱を呪い殺すことと同義とし、敵対する人物を呪殺して行ったドルジェタクの教えは、チベット密教の教理から完全に否定されており、密教とは関係がないとされている。そもそも、呪殺の「殺」とは、人を呪い殺すという意味ではなく、「自分や他者の煩悩を滅殺する」という意味なのだという。

悪用がやまない呪いの力

密教はその教えが秘匿されているため、中々に実態を知り得ることが難しい。その伝承の難しさを利用して、呪術を悪用する輩が後を絶たない。人を呪い、殺すことさえも正義だとする教えは現代でも受け継がれており、凄惨な社会的事件に至る場合も少なくない。

密教はそういった呪い殺す術を認めてはいないが、密教修行で得た知識や技術、能力を応用した呪術は多く存在する。伝え続けられているということは、実現された現象も多く有効的であるということだろう。密教を理解し会得することで呪力や呪術の方法を手に入れることができるのは間違いがなさそうだ。

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