心霊体験コラム 都市伝説系

時代と共に変化し続ける都市伝説『カシマさん』

『カシマさん』とは、十数年前より語られている都市伝説の一つで、映画など映像化もよくされている有名な都市伝説の一つなのです。

都市伝説の中でも派生や変化の特に多い都市伝説でもあり、『カシマさん』とは何なのか?ということ自体いまだにハッキリとしていない都市伝説です。
今回は、このカシマさんに纏わる時代ごとの変化や派生のお話をしていこうと思います。

戦争で死んだ兵士の霊

こちらが、『カシマさん』の都市伝説の発祥と言われているもので一番有力な話しとなっており、私も幼少期によく聞いていたカシマさんの都市伝説となっています。

内容としては、以下の様なものとなっています。

戦時中、ある兵士が戦場において日本軍が劣勢の状況に置かれ、撤退命令が出たことによって撤退している最中、敵軍が仕掛けた地雷を踏んでしまい下半身が吹き飛んでしまいました。
この時に下半身が吹き飛んだ兵士と言うのが『カシマさん』であり、カシマさんはこの時自分が下半身を吹き飛ばす大怪我をして『助けてくれ』と懇願していた状況下にも関わらず、自分に救いの手を差し伸べる味方兵士は居らず、カシマさんに「お前を助けている暇はない」と言い放ち、自分を見捨てて逃げていった見方兵士を恨みそのまま戦場で亡くなってしまいました。
しかし、亡くなった後もカシマさんは、自分を見捨てて逃げていった味方の兵士たちを許す事ができず、その恨みを晴らすため、未だに自分を見捨てて逃げていった味方兵士を探し、彷徨い歩いており人々の前に姿を現しては、自分を見捨てて逃げて行った味方兵士を知らないか?と問いかけてきます。

またこの話には続きがあり、このカシマさんの話を聞いた人間のもとには、1週間以内にカシマさんが現れ、その時にカシマさんは自分を見捨てた、味方兵士の子孫である人間を未だ探し彷徨っているため、「お前の親の名前は?お前のおじいさんの名前は?お前の母親の名前は?」と自分の親族(先祖)の名前を聞いてきます。
この時に聞かれた順番に一番頭の文字をあいうえお順に並び変え、「アシマ・イシマ・ウシマ・エシマ・オシマ」と言った様に、五十音順に頭の文字を変え答えていく必要があります。
この時に『か』だけは飛ばす必要があり、間違って「オシマ」の後に「カシマ」と答えてしまうと、カシマさんの名前を知っている事がバレてしまい「やはりお前か」といって襲われてしまいます。

この話が、カシマさんの都市伝説の原型となる話と言われているものの中で一番有力な物で、カシマさんの始まりであると言われています。
また、時代背景が戦時中のカシマさんの話としては、兵士でなく衛生兵であったものや、郵便局員であったと言うもの、赤紙を配っていた人間であったなどというパターンが存在しますが、これらはこの兵士の話からの派生のものであると言われており、ネットが発達していない時代であったために口頭で話がで伝わる内に話が変化し、結果として話の細部が変わってしまい、生まれた派生形の都市伝説と言われています。

女性の霊

初期のカシマさんの都市伝説というものは、共通して戦時中の『男性の霊』である話なのですが、派生していくにつれ「カシマさん」という存在は、『女性』へと変貌を遂げていきます。
カシマさんの存在が、女性の霊へと変貌を遂げていった初期の派生型としては、「終戦直後の米兵に強姦をされた女性の霊」という話しが始まりと言われています。

この米兵に強姦された女性の霊という話のパターンもいくつか存在しており、「強姦された後に米兵に殺される」パターンや、「強姦された女性があまりのショックゆえに列車に投身自殺をしてしまい、その時腰の辺りを列車に轢かれたことから上半身と下半身が分断され、上半身だけの霊になった」というパターンが、一番有名な内容の話となっています。
この話あたりから、『カシマさん』という都市伝説に登場するカシマさんの存在が、女性になったと考えられています。

また、カシマさんの存在が女性であるパターンの都市伝説の話では、カシマさんの名前は「仮死魔霊子(カシマレイコ)」という名前の場合が多いのも特徴です。

テケテケ説

近年では『カシマさん』の都市伝説において、カシマさんに下半身が存在する場合もありますが、『カシマさん』の都市伝説におけるカシマさんの存在というのは、ほとんどの場合が上半身のみの霊で、上半身しかないというあたりの共通点から、学校の怪談などでも有名な『テケテケ』の正体が、カシマさんであるというパターンも存在します。

この話の出どころは、映画などの映像作品であると言われていますが、テケテケの怪談は古くから学校の怪談として有名な話であり、カシマさんの都市伝説よりも更に古い時代から存在しているものであるため、存在が似ていることから、ネットが発達していない時代に特徴が似ている事で一色担になってしまい、話が混同したところからこういったパターンの話が生まれたと考えられています。
少数派であり、マイナーであったこの話が現在では一部定着したのは、映画の影響があるとも考えられていますが、マイナーな派生形の話であるが故に詳細は定かではありません。

口裂け女説

『カシマさん』の都市伝説の中でも、上半身だけの霊ではないパターンの話として、最も有名なものとしては、「カシマさんの正体が『口裂け女』である」というものが存在します。

根本的にカシマさんの存在が、上半身だけの霊でないもの自体少ないのですが、数少ない話の中では、この口裂け女説というものが有名で、都市伝説上の存在であると言う点と、女性であるという共通点から話が混同して、「カシマさんの正体は口裂け女なのでは?」という話に派生したのではないかと考えられています。

しかし、この『カシマさん口裂け女説』では、元々のカシマさんの特徴である、上半身だけの存在である部分が消滅しており、口裂け女は足が速いなどとの特徴とも相反する部分が多い為、一部情報が正しく伝わっていない中で生まれた派生の話しと考えられています。

結局『カシマさん』とは何なのか?(考察)

結局のところ、カシマさんという存在は何なのか?というところになってきますが、これはオカルトブーム期に生まれた都市伝説(怪談)の話で、その存在が強烈であるにも関わらず、1部地域から発生した都市伝説であったため、伝言ゲームのように人から人へと伝わっているうちに、その形が大きく変わり、現代まで伝わる中でこのように多くの派生形が生まれたと考えられています。

これだけ多くのパターンが存在する都市伝説も珍しいのですが、都市伝説に出てくる「霊」や「物の怪」の類というもの自体、流行り神などの類と考えられているため、その時代に一番有力な噂を体現した形として現れるのが、このカシマさんなのではないだろうかと考えられています。
現代では、映画など様々な媒体で多く映像化されているため、ある程度イメージが固まってしまっているこの『カシマさん』ですが、今現代にこのカシマさんが現れるのであれば、大きくはそのイメージに左右された存在が現れることとなるでしょう。

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