今までも何度かお話をしていると思いますが、魔術や呪術というものは「代償となる生贄を捧げる」ことなどによって、その呪いの効果が極端に上がったり、リスクを軽減したりと言ったことが可能になります。
もちろんこの代償という部分が、大きければ大きいほど呪いの効果やリスクの軽減の幅も大きくなります。
こういった際に捧げる「生贄・供物」の一つとして、『人形』というものが挙げられます。
人形というのは、「丑の刻参り」・「ブードゥー人形(ヴードゥ)」の呪いの様に、呪術や魔術の中では非常に多く使用されている媒介です。
自分の身に降りかかる呪いを受け止めさせる「身代わり人形」としてや、相手に呪いを伝播するための「媒介」として使用される場合であったり、何かと呪術・魔術・呪いなどでは非常によく使用する物の一つとなります。
今回は、そんな人形の中でも「特定の条件を満たした人形を使用することで、より確実かつ強力な呪いをかける方法」についてお話をしていこうと思います。
大切な人形を使った呪いに必要な物
先程お話をしたように、「特定の条件を満たした人形」を使用することで、憎い相手に強力な呪いをより確実にかける方法ですが、それほど強力な呪術に必要なものとなると、何か特別な物が必要なのではないか?と思われがちですが、この呪術を執り行う上で、必要なものはそれほど多くありません。
また特別入手の難しい物というのも、この呪いの肝である「特定の条件を満たした人形」以外は、特別な物ではなく、誰にでも簡単に手に入るものです。
故に特別な技術や能力も必要としないので、非常に強力ながら簡単に取り行える呪術となっています。
必要なものは以下の通りとなっています
・人形
※今回この呪いの肝となる「特定の条件を満たした人形」という部分のものですが、この特定の条件というのは『大切にしているぬいぐるみ』という部分だけです。
女性であれば誰しも、大切にしているぬいぐるみの一つぐらい持っていたりもするものですが、男性の場合あまりぬいぐるみを持っているということ自体が珍しいと思うので、この呪いを執り行おうと思っている人が男性の場合は、この呪術の肝となる「大切にしているぬいぐるみ」を準備することが非常に困難となる場合が多いです。
この、今回の呪いの中で肝となる人形は、呪いを執り行おうと思ってから準備するとなった場合、非常に難しくなってくるものです。
あくまで媒介となるぬいぐるみは、大切にしていた(している)という事で、術者と深い縁の結ばれているぬいぐるみである必要がある為、今から呪いを執り行おうと思ったところで、まずは自分とぬいぐるみの縁が結ばれるまで、そのぬいぐるみを大切にし、縁を結ぶと言う部分から始まってしまうからです。
この部分をクリアする為には非常に時間が掛かってしまい、呪いを執り行う為の前提条件の部分が、非常にハードルの高いものとなってしまいますので、まずは自分が大切にしているぬいぐるみを持っているかという部分を確認してもらいたいと思います。
もしこの段階で、大切にしている人形を持っていない人は、この時点で別の呪術を選択した方が良いかもしれません。
・腐敗物
※これについては「腐っている」ということ以上の条件は特にありません。
土であろうが肥料であろうがなんでも大丈夫です。
使用されるもの中で多いものとしては、やはり食べ物になってきますが、腐っている食べ物がなく、準備するのに手間取るという場合は、身近に腐っているものがあった場合、そちらを使用しても問題ありません。
ただし、呪いの工程で「ぬいぐるみの中に詰める」という工程があるので、水などの様な液体物よりは、出来れば固形物の腐った物の方が良いです。
・紙
※これについても特に指定はありません。
他の呪いのように「和紙の方が良い」「こういった材質のものがいい」という指定も特になく、白い紙であれば特に問題ありません。
この紙に呪いたい相手の名前を書いて、ぬいぐるみの中に詰めるので、基本的には手元にある、筆記用具で文字の書ける紙であれば基本何でもOKです。
・筆記具
※これに関しては、鉛筆・ペン・マジック、なんでも問題ありません。
先程説明したように、紙に呪いたい相手の名前を書くので、準備した紙に文字が書ける筆記用具であれば何でも問題ありません。
・裁縫道具
※基本的には「裁ちバサミ・糸・針」の3点が揃っていれば特に問題はありません。
呪術工程の中で、「ぬいぐるみのお腹に腐った物と、呪いたい相手の名前を書いた紙を詰め込む」という作業があるので、この際にお腹を開く裁ちバサミと、腐っている物を詰め込んだ後に、切り裂いた部分から詰めた物が出てこない様に切った場所を縫い合わせる「針・糸」と言ったこの3点が揃っている裁縫用具というものは、必要となります。
しかし、100均などでも普通に売っているので、特別取り揃えるに苦労するものではありません。
以上の5つがあれば、大切にしている人形を使った呪いを執り行うことができます。
基本的には、この5つで「大切な人形を使った呪い」は完結できます。
しかし、最後の工程として人形を供養し、清めた後に処分する必要があるので、この工程に使用できる「清め塩」などを準備しておくとより便利です。
大切な人形を使った呪いのやり方
前項でも説明をした様に、この「大切な人形を使った呪い」を執り行なう上で、特別な技術や能力といったものは必要ありませんが、大前提として「特定の条件を満たした人形を準備する」という部分のハードルの高さはあるかもしれません。
既に手元にこの条件を満たした人形を持っている人であれば、特に気になる点ではありませんが、普段からぬいぐるみを持たず、条件を満たした人形を持っていない人が、この呪術を執り行うのは難しいかもしれません。
また、人形の中に詰める腐敗物がない場合は、腐敗物を作るところから始まるので、今回は食べ物を利用し、腐敗物を作るところから含めて説明をしていこうと思います。
1.人形の中に詰める食べ物を選び、腐らせる。
・まずは人形の中に詰める「腐敗物」が手元になかった場合、人形に詰める物を腐らせるところから始まります。
必要な物の部分でもお話をしましたが、人形に詰める物は液体に近いものであると、ぬいぐるみから染み出してどんどん流れだしてしまい、人形の中に留まる事はできないので、できるだけ固形物である物の方が良いです。
尚且つ、腐敗物を準備するところから始める場合、既に腐っている訳ではないものを腐らせるというところで、確実にある一定の時間を要するので、この部分をできるだけ短縮するため、腐りやすいものを選ぶ必要もあります。
なので、この2つをクリアするものとしては、「乳製品・卵製品」などといった腐りやすいものかつ形のあるものというのが良いでしょう。
ただし卵製品などの場合、生卵などはぬいぐるみに染み込み、そのまま外へと流れ出してしまう可能性もあるので、卵を使う場合も加熱処理をして固形物になっている物(ゆで卵など)の方が良いでしょう。
乳製品なども非常に腐りやすく、足の速いものなので適しています。
一番オススメのものとしては、豆腐が良いでしょう。
豆腐はあまり崩れ過ぎると液体に近いものになってしまいますが、非常に腐りやすく、腐るまでに要する時間というのが非常に短いため、腐敗物を準備する段階から始めるのであればオススメです。
もちろんのことですが、冷蔵庫などに入れているとなかなか腐らないので常温保存し、より腐りやすい状況にしましょう。
しかしながら、人工的に高温多湿にするなど、手を加えて腐らしていくと、呪術を執り行う上での媒介として効力は、効力が弱まってしまうので、あくまで自然に腐るのを待ちましょう。
2.人形の中に腐敗物と呪いたい相手の名前を書いた紙を入れる。
・人形の中に詰め込む腐敗物が出来上がったら、それと共に準備しておいた紙に呪いたい相手の名前を書き、人形の中に詰めていきます。
そのため、まずは人形の腹を裁ちバサミで裂き、そこから人形の中へ「腐らせた物・紙」を入れ、この2つを入れるために空けた穴から、そのままその2つが出てきてしまわないように、裁縫道具で縫いつけ元に戻します。
3.30日後に呪いたい相手に起こって欲しい事を人形に行う。
腐敗物と呪いたい相手の名前を書いた紙を入れた人形を、「30日間」人目につかないところで誰にも見つからず保管します。
これにより、その人形の中に呪いたい相手の魂の1部が宿り、縁の繋がりができるため、ぬいぐるみが呪いの人形として完成します。
故に、このぬいぐるみに行ったことは、縁を繋いだ「呪いたい相手」に、そのまま直接起こる事になるので、憎い相手に起こって欲しいことを、そのまま人形に行えば、呪いが伝播されます。
4.呪いが相手に降り掛かったら人形を処分する。
・前工程で、人形に行った行動が呪った相手に現れたら、その時点で呪いが成功しています。
しかし、そのまま人形を放置してしまうと、誰かに見つかった時に、その呪いが倍になって自分の元へと帰ってくるので、満足した段階で人形を処分する必要があります。
人形を処分する際には、人形に相手の魂の1部が宿っており、繋がりができてしまっているので、供養・浄化をした後に人形処分する必要があります。
方法については、特に「これでなければならない」というものはなく、簡単なものであれば、清め塩などで清めた後に埋める・燃やすなどといった方法で、人目につかないように処分すれば問題ありません。
以上で「大切にしている人形を使った呪いのやり方」としては、完了です。
以上の4つの工程によって、より確実に強力な呪いを憎い相手に伝播することができ、また相手に起こって欲しい呪いの内容というのも、より具体的にすることができます。
大切にしている人形を使った呪いの注意点
今回の「大切にしている人形を使った呪い」の注意点として、大きなものは特にありません。
強いて注意点を上げるというのであれば。何度も説明していますが、人形の中に詰め込む腐敗物というのは「液体状に近いものであると、人形から滲み出て漏れ出してしまう可能性がある」ので、呪いが失敗してしまう原因となりやすくなります。
そのため、できるだけ固形物にしておかなければならないという部分は、注意が必要な部分かと思います。
もう一つは、どの呪術・魔術にも共通することで、これまでも何度も言っていますが、呪いを行っている姿を誰かに見つかってはいけないということです。
もし誰かに呪いを行っている姿や、呪いの存在を知られてしまうと呪い返しに合う事となり、呪いが倍になって自分の元へと帰ってくるので、非常に危険な状況を招いてしまいます。
特に、今回の「大切にしている人形を使った呪い」の場合では、腐敗物と呪いたい相手の名前を書いた紙を人形に詰めてから、「30日間」人形を置いておくことで、初めて呪具として完成するという物となっている為、この30日間保管をしている間に「誰にも見つからない」ということが前提条件となってきます。
しかし、腐ったものを詰め込んでいる時点で、その凄まじい腐敗臭は必ず周囲に漏れ出します。
その腐敗臭がしている中、30日間もの間誰にも見つからないという部分は少しハードルが高いかもしれませんが、この前提条件を乗り越えられず、誰かに見つかってしまった際、当たり前ですが呪い返しの対象となってしまい、相手にかける予定であった呪いが倍になって自分の身に返ってきます。
どんな呪術や魔術でも共通する部分ではありますが、強いて注意点を挙げるとすればこのあたりでしょう。
大切にしている人形を使った呪いのメリット・デメリット
大切にしている人形を使った呪いのメリット・デメリットについてですが、まず大きなメリットとなる部分が以下の通りです。
・特別な技術能力を必要としないが呪いの効果は強力。
・呪いによって相手に与える被害に具体性を持たせられる。
などといった部分が挙げられます。
強力な呪術には、それ相応のリスクや工程などがつきものですが、今回の大切にしている人形を使った呪いの方法の中では、工程の少なさなど、この辺りは非常に大きなメリットとなる部分と思われます。
また憎い相手に与える呪いの内容も、苦痛を与えると言ったような抽象的な物では無く、具体的かつ望む内容の物に出来ると言う部分は、この呪術の一番大きなメリットとなって来ると思います。
逆にデメリットとなる部分は以下の通りです。
・相手に呪いを伝播させるための呪具(人形)の完成までに1ヶ月という時間を要する。
・呪具の精製期間に非常に悪臭を放つ可能性がある。
と、このような点が挙げられます。
この様に、相手に呪いを伝播させるための呪具が完成するまでに、1ヶ月という期間を要するにも関わらず、呪具を生成する段階において、人形の中に腐敗物を詰めているので、1ヶ月という期間の間、悪臭に見舞われる部分は否めません。
また悪臭を放ち続けるため、他人に見つかるリスクも上がってしまい、呪い返しにあってしまう可能性も上がります。
この辺りは、この呪いにおいて非常に大きく、最大のデメリットとなっている部分でしょう。