今でこそ平穏無事に暮らせる日本。
ですが、かつては恐ろしい奇習が存在しました。
あなたがこの夏に利用しようと考えている旅行先や避暑地も、ひょっとすると奇習が行われていた場所のひとつかもしれません…。
さっそくこの記事では、日本の奇習3選をご紹介します。
亡くした我が子を人形になぞらえる 人形婚
青森県五所川原市には、“人形婚”という奇習があります。
これは、未婚のまま死去した子どもに結婚をさせるという風習です。
具体的な人形婚の手順は、下記のとおりになります。
1.亡くなった子どもに姿かたちを似せて作った人形を用意します。
2.その人形を我が子のように育てます。
3.その人形を、我が子が結婚適齢期を迎える年齢まで保管したら“冥婚”をさせます。
この他にも、男女で少し異なりますが、亡くなった人の写真や人形・異性を模した人形をガラスケースに入れるという方法もあるようです。
現代の日本人からすれば、考えられないような風習ですよね。
一般的には、未婚の子どもが死去しても人形婚などさせません。
とはいえ、当時の青森県民にとって人形婚は、“死者への施し”のひとつだったのでしょう。
結婚をすることなく亡くなってしまった我が子とどのような形でもいいから共に過ごしたい、いつかはするはずだった結婚をさせてやりたい、という親心が込められていた風習なのです。
今でも五所川原市内・河原地蔵尊という場所を中心に、多くの人形が備えられていますが、ランドセルや化粧品が供えられているのもそのような親心からでしょう。
また、成長しなかった・子孫を残さずに先祖になれなかった人は正常な生を全う出来なかったとして祟る存在になると考えられており、子供だけではなく、未婚の人や結婚していても子供が出来ずになくなってしまった人も供養されていたようです。
供養することで、その人は一人前となり、祟る存在から家族を守ってくれる存在へとなるのです。
この風習は古くからありそうですが、始まったのは昭和30年頃と比較的新しい風習のようで、それまでは地蔵像が人形の役割を果たしていました。
しかしながら、死者同士を結婚させる「冥婚」は古代中国からあるので、各地に古くからある風習が形を変えて引き継がれているのかもしれません。
山奥の集落に存在した 成人の儀(夜這い)
長野県の集落では、かつて成人の儀として“夜這い”をする奇習がありました。
現代の日本人が成人をする時は、晴れ着姿で成人式に参加するのが常ですよね。
しかし当時の長野では、20歳を迎える年の正月明けに、男性が女性の家に押し入り夜這いをする風習が当たり前に守られてきたのです。
男性たちの訪れを拒まぬよう、女性は自宅や部屋を施錠することを許されませんでした。
つまり、どんな男性が来ても性交渉を拒む“拒否権”は持ち合わせていなかったのです。
現代の日本でこんな風習を守っていたら、犯罪になりますよね。実際に、この集落の奇習に準じて夜這いを行い、警察に通報されて大事になったという男性もいるようです…。
各地に根付いた奇習とも言われるしきたりと現代日本の法律、果たしてどちらが優先されるべきなのか。
今もこうした議論は盛んに行われています。
協力者まで募ることができててしまう おっとい嫁じょ(嫁盗み)
鹿児島県の大隈半島では、“おっとい嫁じょ”という嫁盗みの奇習が行われていました。
「おっとい」とは「盗む」という意味で、「嫁を盗む」ということになります。
男性のプロポーズを拒んだ女性を強姦し、強制的に嫁にするというものです。
しかもこの風習は、あらかじめ女性に性行為を拒まれることを見越して協力者を募ることができてしまいます。
ある意味では失敗することが前提の奇習なのでした。
どんなに女性側が抵抗しても、その男性との赤子を授かれば婚約者として申し出なくてはならず、結婚の意思の有無によらず風習に従わざるを得ないという厳しさがあるのです。
また、昔の女性は結婚するまで貞操を守るということが重要視されており、処女を奪われると世の男性から敬遠され結婚することが難しくなる為、強姦されただけでも結婚せざるを得なかったという背景もあります。
男尊女卑の概念を常識とした時代背景から、こうした風習が浸透してしまったのでしょう。
こちらの風習も現代日本では考えられないものですよね。
自由婚が認められている世の中で強姦などを行えば、罪人として刑罰に処せられるだけです。
因みにこの風習ですが、許されない恋愛をしてしまった人同士や経済的に結婚が困難な女性側が結婚できるように風習を利用していたという説があります。
また、実際には新婚さんに向けてのただの行事だったとも言われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これらのように、かつての日本では、想像を絶する恐ろしい奇習が行われていました。
筆者個人の見解を示せば、“今の時代に生まれてよかった”としか言いようがありません…。