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簡単な呪いの方法『対象を心底怨む呪いのかけ方』

「呪い」の方法とは、実に多種多様です。紙に相手の名前や特徴を書き、それを燃やすといった簡易的な物から、以前紹介した「丑の刻参り」のように相応の期間を必要とするもの、また自身の念を主力とするものや、悪魔や悪霊を召喚してそれを憑かせる、といったものまで、本当に多くの手法が存在します。

その中でも、簡易的ながらもある程度の効果が見込める、理屈に則った方法を幾つか紹介したいと思います。

呪法によって、そのリスクも変わってきます。そのため使い分けが必要ですから、最初に「呪い」の分類をしておきたいと思います。
「呪い」の種類は、大きく分けて二通りあります。

1:自身の「念」の力を使う方法

○代表例

・丑の刻参り(所定の服装で丑の刻に、七日七晩藁人形に釘を打ち付ける)
・生霊飛ばし(特定の行為や儀礼を行うことで、自身の生霊を対象に憑ける)

自身の「念」の力のみを糧に、対象に「呪い」を掛ける手法です。相手を恨む「念」が強いほど成功しやすい傾向があります。

「念」の強さによって、「怪我が多くなる」といった軽い症状から、「相手に重症を負わせる」「相手を呪い殺す」といった重い症状まで、効果が変わってきます。

また、「念」があまりにも強かった場合、自身が死んだ後に「悪霊」となって相手に危害を及ぼすことにもなります。特に有名で被害が大きかった「悪霊」に、「平将門」や「菅原道真」が挙げられるでしょう。

2:「悪霊」や「悪魔」などの力を使う方法

○代表例

・黒魔術(獣の血や肉などを供え、悪魔を召喚して自身の望みを叶える)
・犬神 (犬を首だけ出した状態で土中に埋め、飢えさせる。その眼前に食べ物を置き、それを食べようと首を伸ばした際にその首を切り落とす。すると頭部は飛んで食べ物に食らいつく。それを焼いて骨にし、器に入れて祀ると願望が成就される、もしくは対象への呪いが成立する)

何らかの儀礼を行い「悪魔」召喚する、もしくは「悪霊」を作り上げ、それを使役、もしくは祀ることで自身の望みを叶える呪法です。
「対象を呪い殺す」と言うよりは、「願いが成就する」という傾向が強いです。ただし、ネガティブな感情を基に行われることが多かったため、その事例は結局「対象を呪う」と言うものが多いです。

大抵の場合、「対価」が必要とされたり、「憑物筋(つきものきん)」の家筋と忌み嫌われたりなどのリスクが存在します。(一部の農村では、動物霊が特定の家系に代々憑いており、その家の人に憑くと信じられていました。憑き物のある人は憑き物を使役して他人から財物を盗ませたり、無意識的に妬み恨みのある相手に憑かせて害を与えることもあると思われ、周囲から忌み嫌われることがあるようです。)
「念」も重要ですが、何より儀礼を行う術者の「素養」や「技術」が最重要視されます。

代表的な呪いの種類と細分化

・1のイ
自身の「念」を直接相手にぶつけるもの(生霊飛ばし)
・1のロ
何かを媒介にして自身の「念」をぶつけるもの(丑の刻参り)

・2のイ
「悪魔」や「悪霊」を召喚した際に、それらと「契約」を交わして成立させるもの(黒魔術)
・2のロ
所定の儀式を終えれば、自動的に成立するもの(犬神)

大まかに分けると、「呪い」とはこの4種類の何れかに分類することが出来ます。
例えば中国製の「呪い」の中でも、「蠱毒(多くの毒虫を一つの箱の中に入れて殺し合わせた上で、生き残った一匹を使い対象を殺す呪術)」であれば「2のロ」に分類することができますし、世界中で分布している「邪視(『魔眼』や『イヴィルアイ』とも言う、悪意を持って相手を睨み付けることで、その対象を呪う)」であれば、「1のイ」の分類することができます。

これらの「呪い」の分類の中で特に簡単なものを挙げるとすれば、それは「1のイ」となるでしょう。特定の手順を踏むだけで対象を呪うことができますし、これといった技術も必要ありません。ですから、最初に「1のイ」の呪法の方法を解説したいと思います。

・生霊飛ばし

対象に対して恨む、憎む、破滅を願う、といったネガティブな感情を持ち続けることで成立します。成立すると自身の生霊が対象のもとへ飛んで行き、対象を不幸にするとされます。

・邪視

対象を、悪意を持って睨み付けることで成立します。成立すると、「生霊飛ばし」と同様に対象は不幸になるとされます。

これらは、一切の技法を使わずにあくまで自身の「念」の力のみで成立する呪法です。ですから「念」の力が強ければ強いほど、対象にもたらす「不幸」もより大きなものになっていきます。

ただし、一切の技法を排しているが故、そこにはリスクも存在しています。例えば「生霊飛ばし」ですが、これは対象に自身の「魂」の一部を憑かせている状態です。
対象に自身の「魂」の一部が憑いている、と言うことは、対象に憑かせている分だけ、自分の「魂」は弱まった状態になります。

そういった状態になった場合、自身にも「良くないモノ」が取り憑きやすい状態になる為、結果的に自身も対象も両方「不幸」になる、といった結末を迎えることが珍しくありません。

また、「邪視」ですが、これは簡易的な上、世界中に分布している呪法ですから、その分「対処法」も広く分布しています。
例えば、トルコには「邪視除け」のお守りである「ナザール・ボンジュウ」というものが存在していますし(青色のガラスの中に、目玉が書いてあります。
トルコ土産でよく見かける、あれです)、その他にも「アミュレット」や「ファーティマの手」など様々なお守りが存在しています。つまり、対象が自衛しやすいのです。
そして、対象に効果が伝わらなかった場合、「呪い」は得てして自身に返ってくる場合が多いです。

これらのことから分かる通り、「1のイ」の呪法は方法も簡単で、確立されている呪法の中でも一番平易な物であるといっても過言ではありませんが、平易である分だけ「リスクも多く存在していると言えます。

こういった「リスク」を最小限に生み出された呪法が「1のロ」です。これらは道具を媒介させることで、その「リスク」を抑えています。この呪法の代表例は「丑の刻参り」ですが、「写真」という技術の発展によって、より簡易的な方法も生まれてきましたので、少し紹介したいと思います。

簡易的な呪いのかけ方、呪いの方法

その方法とは、対象の「写真」を針で刺す、燃やす、といったものです。これは「おまじない」程度に考えられることも多いですが、理に適っている方法です。この呪法の原理は「丑の刻参り」や、かつては厄除けの人形として使われていた「雛人形」に近いものです。

「丑の刻参り」や「雛人形」が、「対象となる人間」と「人形」をリンクさせることでその「厄」や「呪い」を移しているのと同様、これは「写真」を「対象となる人間」とリンクさせているのです。

「写真」には対象が写っているのですから、リンクのしやすさ、という点では「丑の刻参り」よりも更に相手に「呪い」をダイレクトに伝えることが出来ます。ただし、「呪い」を入れる「器」の役割で考えれば「写真」はただの紙切れですから、少し心もとないでしょう。

ですから、一番確実なのは「人形」の顔部分に対象の写真を貼り、それに呪いをかける、という方法でしょう。

以上のことから、リスクを度外視してでも対象を呪いたい場合は「1のイ」、リスクを少しでも抑えたい場合は「1のロ」と言うように使い分けた方が良いことが分かります。

ちなみに2の呪法は「2のイ」であっても「2のロ」であっても、かなりの技量が要求されるため、あまりお勧めはできません。場合によっては自身だけが「不幸」を被り、対象には一切ダメージを与えられない場合もあります。

自分に合ったやり方を...

冒頭にも書いたように、上記の方法は代表的なものになります。

他にも方法は様々なものが存在します。

その中でかかる手間やリスク等を吟味し、選ぶことが大切です。

「人を呪わば穴二つ」というように、どういうものにせよ呪いはその分自分自身にもリスクは返ってくるかもしれません。

ですので、そのリスクを最小限に抑える分効果も手間も軽いものにするか、リスクを覚悟してでも効果を最大にするかなどをしっかり考えた上で選んでくださいね。

また、「お祝い」という幸せな意味を持つものも「呪いの一つ」とも言われます。かける言葉により相手を特定の価値観で縛ることになるからだそうです。

リスクを被りたくない場合は敢えて「お祝い」を選択肢に入れてみるのもありでしょうか。

 

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